撤収

2010年11月からシンガポールに住んでいたんだけど、2012年4月末をもって日本へ帰国することになった。最初は昨年春までの予定で長期出張、昨年4月の時点で同じ職務のまま一年延長、去年の秋に色々あってこちらで管理職になったんだけど、管理職の業務が嫌すぎた。なんとか今期の契約完了まではちゃんと続けるので、4月には戻らせてくれ、と日本の会社に依頼して、後任が来ることになったので業務を引き継いで4月末に帰国する。
色々経験にはなった。部下が十数人、内、日本語が流暢な人は一人、採用面接や人事評価、予算の作成、実績の確認、その他いろいろ。半年だったので習熟することはなかったけど、一応経験はしたという感じ。どれをとっても現地の優秀な人に任せたほうが何倍も上手くやれる。自分は就職してから十年、システム関連の業務しかしていないし、特別人当たりが良かったり、人の管理が上手かったりするわけでもない。「あいつとあいつの仲が悪いからなんとか仲裁してくれ!」 と頼まれたときは、日本人同士の揉め事でも見て楽しんでるだけなのに、仲裁とか無理だろ……。と思った。自分のほうがうまく出来るだろうというのは、日本人関係者、日本人上司との折衝のみ。日系の会社、トップが日本から一時的に赴任してきている日本人で現地の人と十全なコミュニケーションが取れない場合、トップから現地の従業員に至る間のどこかでギャップを埋める必要がある。もしくは、埋められないギャップが放置されたままになる。自分がそのギャップになった感じで、加えて、予算、実績の数字を見ると自分に掛かるコストのでかいこと! 役に立たない上に、こんなにコストが掛かるんじゃ申し訳が立たないから、ローカルの人、もしくは現地採用の日本人に入れ替えたほうがいい……。という気分になる。というのが辛さ。ここを、長期的に前向きな努力で解消しようとは思えなかった。最低3, 4年のスパンで残ってくれ、とも言われたが、もとからその期間、その業務をするつもりで来ていないし、向いているとも思えない。しかも辛い。ということで、帰国。
管理職として上手くやれなかったのは仕方ないと思うけど、基本的な英語のコミュニケーションにもそれほど向上が見られなかった点については悔しいと感じている。シンガポールは、英語が公用語である国としては、英語の下手な人にやさしい国だと思う。沢山いる外国人労働者は、ほとんどの場合、英語は第二言語だし、シンガポール人でも普段は中国語を使っている人が多い。発音も文法も許容される範囲が広いのではないかと思う、他の国にあまり行ったことがないから知らないけど。中華系のマレー人などは、普通に中国語、マレー語、英語、それに加えて日本語ができたりして、凄い。本人に言わせると、英語も中国語も本当のものとは違っていて中途半端だ、ということらしいが。今回、海外に来たのは自分の会社としてはかなりのレアケースで今後あるかどうか分らない。何年も勉強してるのに、スラスラ読めるようにもならなければ、自信を持ってコミュニケーション出来るようにもならない。本当にうんざりするが、ここで止める訳にはいかない。不屈の意志でコンコルドを完成させた英仏に倣って(コンコルドだけに)音速で前進あるのみ。本当はそこまでやる気もないが……。