挨拶へ行ってきた

4, 5ヶ月間シンガポールへ出張せねばならん、と決まったのは出発の二週間ほど前のことで、まだ先方のご両親へ挨拶も済ませていませんでした。挨拶もせずに一緒に来てもらうわけにはいかない、ということで、出張直前の週末に、栃木のご両親を訪問してきました。
先方のご両親、父親、母親とは個別に食事をさせていただいたのですが、いろいろな話を伺った中で、二人とも語ってくれたのが30数年前、まだ彼女が生まれる前に行ったというヨーロッパ旅行のことです。
昼食の場で父親が語ってくれたのは、フランスで入ったレストランの話でした。親族の夫婦と四人でレストランへ入ったところ、とても美味しいエビ料理が出てきた。これをもう一匹食べたい。フランス語はわからんが、英語では、一つ=ワン、つまりエビ、ワンだから、店員を呼んで、エビワン、エビワンと言ってたら水が出てきて、なんだこれは!? と思ったらevianだった、とのことです。ほぉ、なぜエビを日本語で通そうと思ったのかは謎だけど、よく出来た話だなぁ、と感心しました。
その日の晩、全く別の話を母親としている中で、やはりその旅行の思い出が話題に上がりました。当時、日本にはまだ水をブランドで買うというような風習はなく、やはりボトルで売られている水は印象に残っていたようです。彼女によれば、向こうについてまず覚えたのが水のブランド名であり、それはevianというもので、どこへ行ってもevianと言えば水が出てきた。ある日、とても疲れてレストランに入った。喉も乾いたので、みんな水が飲みたいと思い、evian, evianと口々に注文した。そうしたら、なんとエビ料理が出てきたのよー、ほら、エビ、ワンだからエビ料理だと思ったのねー、あはははは、と母親は笑っていたのですが、僕はその時とても混乱していたので口もきけませんでした。