オタ芸について(2) / 動作について

ここでは狭義のオタ芸について、純粋な身体動作としてみていこうと思います。狭義のオタ芸とは、各種ロマンス、クラップを伴う回転芸、推しジャンプなどを含みます。今日は扱いませんが、広義のオタ芸には、掛け声(コール&レスポンス)、正確で激しい振りコピ、正逆両方面を含むドリーム行為、ボード等を使用した演者とのコミュニケーションを目指す跳躍、異常ハイテンションから繰り出される不審な挙動全般までも含みます。広義のオタ芸は私も行うことがありえるので、私は広義のオタ芸人だと言えます。広義のオタ芸と狭義のオタ芸は直接の関連を持ちませんが、狭義のオタ芸を行う人は広義のオタ芸を行う割合が高いように思います。
また、最近はオタ芸を一種のエンターテイメントして取り扱う媒体が存在するようですが、撮影を目的とした大規模キボンヌなどは対象外とします。また、当然ながら私が見たことのない芸も扱いません。最近気になっているのは"冒険者"と呼ばれるオタ芸で、どうも行進系の大技であるらしいのですが、実際に見たことがないので詳細は不明です。
オタ芸は非常に強く情動を喚起するというか、初めてオタ芸を目にしたときの反応は大体二つで、「面白い」、「きもい」のどちらかです。私はオタ芸を初めて見たときに面白いなぁ、そしてよくわからないが気持ち悪い動きだ、と思い、それから一年半経ちますが、あまり印象は変わっていません。もの凄く楽しそうな笑顔で意味のわからない動きに全力で没頭する集団をみて面白くないわけがない、きもくないわけがない。
各種のオタ芸の動きに共通する要素は何だろうか、というと、まず一つには大変シンプルであると言うことが挙げられる。オタ芸の動きはそれほど難しくない。少なくとも振りコピに比べれば大分簡単である。すぐ真似できるしシンプル、ある種洗練されているともいえるが、洗練のされ方に方向性がないというか、偶然備わっていた要素を無理矢理先鋭化した動きに思える。上手く説明できないが、棒立ちの状態で跳ねながら回転し、頭上で手を打つというのは、やってみればわかるが特段音楽との一体感が味わえるというようなこともなく、ただただ目がまわるばかりです。それがオタ芸でなければ一度でもやってみようとは思わない。ロマンスもそうだ。ロマンスは文章で説明しにくい動きなので説明しないけど、自然に気持ちよく体を動かしていたらいつのまにかロマンスみたいな動きになった、ということはこの世界の隣にいくつの平行世界が存在していようとも絶対にあり得ない。また、ロマンスが特別非人間的な動きに見えるのは、頭の動きが決められており、またそれが特別に不自然な動きなので視線を定めることが完全に不可能であり、色々な方向へ目を向けるがどこも見ていない、という状態になるからだと思う。結構激しい動きなのに下半身は全く動かない、というのも変だ。
オタ芸の動きには不自然な点が多くある。オタ芸が純粋に盛り上がるためにあるものだとすれば、もっと体の動かし方として自然な、気持ちの良い形になっていると思われるので、オタ芸がそういう動きになっていないのは何かオタ芸なりの理由があるのだと思う。それがなになのかは全然考えていないので明日考えます。