なぜ嗣永さんは怒った(ように見えた)のか

『W & Berryz工房 DVD MAGAZINE Vol.2』の中に嗣永さんが徳永さんに怒っているように見えるシーンがあってなぜ怒っているのか、本当に怒っているのか、が、よく分からない。色々な解釈が出来そうなので怒りに至る状況を整理して考えてみます。女性の気持ちを推測する練習という意味もあります(日頃の訓練が肝要ですゾ!)。
このDVDはおそらくライブ会場でしか買えないので、もしかしたら見たことがない方もいらっしゃるかも知れません。そういう方にも出来るだけわかりやすく状況を書いていこうと思います。また、まだ見ていない方はネタバレになるかも知れませんので注意してください。
さて、DVDの内容ですが、コンサートツアーのタイトル「HIGH SCORE!」にちなんで、Berryz工房の方々が色々なゲームに挑戦しています。各ゲームの優勝者にはハイスコアクィーンという称号が与えられます。種目は、バランスボール耐久マッチ、ぐるぐる回転バトル(フラフープ)、腕相撲ベリーズ場所(腕相撲)、ブロック抜きバトル、の四つです。腕相撲ベリーズ場所はただの腕相撲トーナメント(場所と言うよりも大相撲トーナメント形式)なのでハイスコアなぞ出ようがない(強いて言えば1対0でしょうか)し、ブロック抜きは抜いたブロックの数で勝負を決めるのですが、基本的に一人ずつ順番にブロックを抜いていくので、ブロックの数に差がつかず、結局は四人によるじゃんけんで勝敗を決めるなど、かなりいい加減な作りなのがまた素晴らしい、という感じです。
問題の、嗣永さんが徳永さんに怒るシーンは、第二種目、ぐるぐる回転バトルの終盤です。その前に、第一種目としておこなわれたバランスボール耐久マッチの模様について、徳永さんと嗣永さんの関連、徳永さんの勝負にかける熱意を重視して説明したいと思います。

バランスボール耐久マッチでは

まず、各人が箱に入ったボールを取り出して順番を決めます。2番を引いた徳永さんは「何で2番なのー」菅谷さんの6番を見て「えー、いーじゃーん」など順番に対する並々ならぬ執念を見せます。ライブ前には緊張して泣いてしまうほどらしいので順番が重要なのかも知れません。3番を引いた夏焼さんがものすごく喜ぶのも印象的です。
競技内容は直径50cm程度、ゴムボール様のものに腰掛け、何秒落ちずにいられるかを競うものです。結果はこう。

名前 スコア 順位
1 石村舞波  3.96秒 4位
2 徳永千奈美 23.91秒 1位
3 夏焼雅  3.28秒 7位
4 熊井友理奈  2.22秒 8位
5 須藤茉麻 10.94秒 2位
6 菅谷梨沙子  3.94秒 5位
7 嗣永桃子  3.31秒 6位
8 清水佐紀  8.94秒 3位

御覧のように、徳永さんがぶっちぎりの成績で優勝です。なお、徳永さんの回から、暇なメンバーは「変な声」を出して競技者の精神統一を揺さぶるのが慣例になります。徳永さんは終了後、「怖かった」と言い、他のメンバーにも「変な声」を聞かせてやる、と宣言します。そして実際に、夏焼さんは徳永さんの「バーン!!」という声によって3.28秒でボールから転落します。夏焼さんが徳永さんの「バーン!!」で終わってしまった、というのは清水さんが執拗に主張しています。
石村さんは、夏焼さんのタイム発表を聞いて「やった! 良かった!」と言います。石村さんは自分と比較してその人が上かどうか、と言うところを重視しているようで、この後もそういった発言が目立ちます。僕は石村さん推しを自認していますが、あまり石村さんに触れる機会がないので書いておきました。
熊井さんも、夏焼さんと徳永さんの絶叫によって2.22秒で転落、最下位に終わります。このあたり、ハイスコアゲームは波乱含みのスタートを切ったと言えるかも知れません。それでも2.22秒は2並びで凄い、と喜べる熊井さんはさすがの一言です。
須藤さんは「にくまん、おせんべえ、おだんご」という周囲から振るわれた言葉の暴力にも動揺せず、10.94秒の好記録。
メンバーの合議で決められた掛け声は「にくまん」だけだったのに、清水さんによって「おせんべえ、おだんご」が後から追加されたようです。「おせんべえ、おだんご」はハロコンDVDにおける須藤さんの喜怒哀楽表現(本当に必見)を揶揄したものだと思っていたのですが、単に須藤さんが好きなものを並べているだけかも知れません。
須藤さんの成績発表時に、徳永さんが「神様お願い、本当にお願いします!」という恒例の祈祷をしていることから、徳永さんが真剣に勝ちに行っていることが分かります。タイムを見ると倍以上の開きがあるので安全圏に見えますが、徳永さんはいつも真剣です。
この後、菅谷さんをとばして嗣永さんの競技開始直前が、一つ重要な伏線になると思われる場面です。菅谷さん終了後、

徳永さん
「つぎ誰?」
清水さん
「桃」
徳永さん
「えー、桃は厳しいよ、これぇ」
唐突な発言に騒然とする周囲の方
(ざわざわ、ざわざわ)
嗣永さん
「厳しいって言われたよー」
清水さん
「じゃあ七人目で嗣永桃子ちゃんの挑戦でーす!」
石村さん
「どういう意味で厳しい?」

厳しい、と言うのがどういう意味なのか、普通に考えると、良い成績が残せないだろう、と言う予想ですが、それにしても根拠が分からないので、これは謎の発言です。他のメンバーにとっても意味不明だったらしく、石村さんが意味を問い質していますが、タイミングが悪かったので完全に無視されてしまいした。
この発言の正確な意味、意図は分からないですが、徳永さんが嗣永さんを対戦相手として意識していることは読み取れます。
そして、この予想が当たったのかどうか、嗣永さんは3.31秒の平凡な記録に終わり、バランスハイスコアクィーンの称号は徳永さんの手に落ちたのです。

バックステージ Part2

各勝負の間に楽屋裏的映像が入っていまして、ここでは腕相撲とフラフープの練習をする徳永さんと須藤さんの姿が収録されています。
まずは、「(聞き取り不能)腕相撲は無理ですよー」という徳永さん。「あー、まーさん来たー」と言って脅える徳永さん(まーさん==須藤さんは腕相撲が法外に強い)。フラフープが上手くできない須藤さんを見て「あっはっはっはっはー」と手を叩いて笑う徳永さん。その後、自らフラフープを自在に操り、「ほら、すごくなーい、すごくなーい」「さーいきょうー、うち、めっちゃ最強じゃーん」などと発言。こう書くと自分の才能におぼれた傲慢な発言に見えますが、実際は勝負に向けて燃える溌剌とした女性、という感じです。ただ、徳永さんの勝負にかける情熱はただ事ではないな、という印象は誰しもが受けるところだろうと思います。

ぐるぐる回転バトルでは

ぐるぐる回転バトル*1でも順番決めにボールを使用しました。6番を引いた徳永さんは「やった! 目的通りの六!!」だそうです。順番に対してこれほどのこだわりを見せているのは徳永さんだけなので、というか、引いた番号に対してコメントをしているのは徳永さんだけなので、ここでも徳永さんの勝負に対する熱意を見せつけられた感があります。
波乱に終わったバランスボール耐久マッチと違い、ぐるぐる回転バトルでは観戦者は大人しくスコアをカウントするだけでした。結果は以下の通りです。

名前 スコア 順位
1 熊井友理奈  39回 5位
2 石村舞波  65回 3位
3 清水佐紀  38回 6位
4 夏焼雅  42回 4位
5 嗣永桃子 609回 2位
6 徳永千奈美 966回 1位
7 菅谷梨沙子   4回 8位
8 須藤茉麻   5回 7位

2桁4人、3桁2人、1桁2人という極端な結果。
1番手の熊井さんが不本意な成績に終わった後、2番手の石村さんが初めて六十台に到達したと発言。

石村さん
「わたしねー、練習より行った、初めていった、ろくじゅう、ご?」
徳永さん
「みんな、それ、本番で良い結果出せてるよねー」
熊井さん
「うち全然出せてない」(手を振りながら)

ここの熊井さんの突っ込みが素晴らしい。ぐるぐる回転バトルはまだ二人しかやっていないので、先のバランスボール耐久マッチも含んでの発言なのだろうと思いますが、徳永さんの勝負に対する意識の高さ、数字への拘りを見せつけられます。見せつけられてばかりです。後で菅谷さんがフラフープを5回しか回せずに泣いてしまった時の「今までで一番出来たんじゃない? ね、ほら、だから良いんだよ!」、同じく4回に終わった茉麻さんに対する「だーいじょうぶ、後で勝てるから!(腕相撲で勝てるから良いじゃん! と言う発想)」など、徳永さんの努力、勝利に対する姿勢はほんと徹底しているし見習いたいです。
さて、ようやくここからが嗣永さんの怒りに繋がるシーンです。5番手嗣永さんが609回というまさに桁違いの大記録を樹立、その直後に徳永さんが966回を叩き出す。そして嗣永さんが怒る。と言う流れですが、順を追って細かく説明します。
まず、嗣永さんがフラフープの準備をしている時の徳永さんの発言。

徳永さん
「桃のねー、次って本当にやばいんだよ」
嗣永さん
「やだぁー」

これも意味が分からないです。「自分が桃(嗣永さん)の次」なので、「桃の次はやばい」==「自分の番にはなにか、良くないことが起こる」という予言なのか、「桃(嗣永さん)の(次 == フラフープ)は(やばい == 凄い)」という意味なのか。多分、後者なのだろうと思います。実際に嗣永さんはフラフープが上手く、軽々と暫定一位の石村さんを抜き(石村さんは抜かれた時「あぁー」と言う)100を超え、200を超え609回という記録を出す。
このフラフープですが、大体2回転/秒というスピードです。徳永さんの方が嗣永さんより若干速く回転させているようですが、それでも嗣永さん5分、徳永さんも7分程度は回し続けていると思われます(DVDには早送りで収録されています)。当然、この間観戦者である他のメンバーは回数カウントを続けているので、

嗣永さん
「疲れたー」(フラフープをまわしながら)
須藤さん
「こっちが疲れたよ!!」

と、なります。良い記録を出した人間が居心地の悪い思いをするような競技をするな! 腸捻転になったらどうすんねん(脚韻)! と思います。腸捻転になるというのは、最初からデマとして流通しているデマ、みたいな奴です。行われてしまったものは仕方ないのですが、だから、小指をたてながら良い記録を出した嗣永さんが競技を終えてまず行ったのは皆への謝罪でした。

嗣永さん
「ねぇーみんなごめんねー、疲れたよね」
みんな
「疲れたー」
嗣永さん
「息吸ってる?」
みんな
「吸ってるー」

最後の所で一人だけ「……(聞き取り不能)ない」と言っている人がいるのが気になりますが誰だか分かりません。
で、徳永さん。「心臓、破裂しそう」というやや大袈裟なコメントを残してフラフープ開始。あっさり嗣永さんの記録を破ります。このとき、嗣永さんは何か呟いているようですが、全く聞き取れません。読唇術やってれば良かった、と思いました。まぁわからないものはわかんないので、諦めます。
966回という本気すぎる大記録を打ち立てた徳永さんは終了後まっすぐ嗣永さんの所に駆け寄り、

徳永さん
気持ちが分かったー。怖くなーい? 怖いよねー、これー(嗣永さんの手を取りながら。何かに脅えている)
嗣永さん
なんか悔しい(ちょっとツンとして)
徳永さん
あぁーごめん(ものすごいテンションが落ちている)
嗣永さん
なんで謝んだよぅ(徳永さんの耳元で怒ったように)

これですよ。確かに、何回も見てると凄く怒ってるように見えてくる。Berryz工房の中では最も行動が大人びている(と僕は思う)嗣永さんが何故ここで少しキレた様な対応をしたのか、が、本エントリのテーマです。以下は僕の推測です。

何故嗣永さんは怒ったのか

まず、徳永さんが最初から嗣永さんをライバル視していたのは間違いないだろうと思います。収録の前に練習をしているようなので、その時点でライバルになりそうな人として嗣永さんをチェックしていたのか、普段からライバルなのかは分かりませんが、とにかく徳永さんは嗣永さんを意識していた。だから、嗣永さんの競技の前には必ず(意味不明な)コメントを出す。対して、嗣永さんはとくに勝負には興味がない。勿論、他のメンバーと同じように負けたら悔しいし勝ったら嬉しいだろうけど、徳永さん的なこだわりは持っていない。
そして競技が始まる。バランスボール対決ではもともと徳永さんの方が得意でもあるし、圧勝する。問題は次のフラフープです。徳永さんは自分のフラフープ能力に絶大な自信があるけれども、唯一自分に対抗する力を持つ人間が居るとすればそれは嗣永さんだろう、と思っていた。そして想像通り嗣永さんはよい記録を出した。「心臓が破れそうになりながら」徳永さんはその記録を破る。競技後、「何かに脅えながら」嗣永さんの所に辿り着いた徳永さんは"自分以外で唯一3桁の世界をかいま見た仲間"である嗣永さんにフラフープの怖さを訴えた。ここまでが徳永さんサイドの見方。
対して嗣永さんはどうか。徳永さんが毎回自分の競技開始前によく分からないことを言う事に対してどう思っていたのかは判然としない(当人同士では意味の分かることかも知れないし)ですが、徳永さんが自分を意識していることは知っていたと思います。が、立ち位置が離れていたこともあって、収録中は直接言葉をやりとりしていなかった。それがフラフープ終了後に突然自分の所へ駆け寄ってきて、「フラフープが怖い」と主張し同意を求めてくる。フラフープの怖さが分からなかったのか、嗣永さんはここで「勝負に負けて悔しい」という発言をする。これは別に文脈を無視した発言ではなく、これまで徳永さんが展開していた勝負世界(ちなこのおもしろコーナー)に吸い込まれる形での発言であると解釈した方が正しいでしょう。
再度徳永サイドへ。ここで"自分以外で唯一3桁の世界をかいま見た仲間"から突然の「悔しい」発言をされた徳永さんは動揺してしまい、自分が嗣永さんに対して必要以上の競争心を見せていたのではないか、それで嗣永さんが怒っているのではないか、と勘違いした。それで「あぁーごめん」と言った。
ところが、嗣永さんは徳永さんの勝負文脈に沿った発言をしただけなのだから、徳永さんの謝罪を(折角、自分がのった)勝負世界の放棄と捉えて怒った、「なんで謝んだよぅ(勝者が敗者に謝罪するなんて敗者に対する侮辱だ)」と、こういう事ではないかと思います。
素敵女子の考えることは難しいのであくまで推測ですが、どうでしょうか。

補足

Berryz工房について書くと長くなりすぎるのと、嗣永怒り問題とは直接関係ないので削りましたが一つ。須藤さんがフラフープ4回に終わった後、大量のフラフープを持ってふらふらと歩き回り、立ち止まったかと思うと大量のフラフープを頭上に掲げるシーンがあるのですが、これを見て須藤さんは物を持っているのが非常に似合うなぁと思いました。まるごとのDVDでも何故か鳥の丸焼きを隠すのに使うみたいな銀色で半球状の蓋をずっと手からぶら下げているシーンがありましたが、あれも似合っていた。

*1:DVD内のキャプションではフラフープ回転バトルとなっていますが、パッケージの表記を採用します