こんにちは(6) / amazon(1)

Amazonレビュー問題について考えよう。Amazonレビュー問題とは、(1)Amazonのレビューに自分語りを入れてしまう人が居るのはなぜか、(2)それはうざいことなのか、(3)そしてそもそもAmazonのレビューはなぜ書かれるのか? 等々その他色々。諸問題まとめて言っています。
まず自分語りから入りますが、僕はAmazonのレビューを一度だけ書いたことがあります。それは僕の大好きなゲームについてのレビューであり、(ピュアに言えば)それをより多くの人にプレイして欲しいと思い、五つ星を付けるとともに、絶賛するものでした。僕がもし次にレビューを書くとしてもそれは同じような動機の五つ星か、それとも、なにか気分がむしゃくしゃしたので適当に一つ星をつけるかどちらかであり、後で反省します。
ですから、そもそもなぜAmazonで一つ星や五つ星でないレビューを書くのか、というところから実感としてはわからないわけです。僕は特にあの星に注目しているのです。あれは何を意味しているのか。
今日は得体の知れない空気についての様々な考えを話す前に、きっちり公式に書かれてあることについて振り返るとともに、僕が今までに見たアマゾンレビューの中で最も衝撃的なものを一つ紹介しようと思います。
まずは公式には、レビュー/星はどのように定義されているのか。驚くべき事に、amazon.co.jpのレビューガイドラインでは特段星について触れている部分はありません。念のため、amazon.comのレビューガイドラインも見てみましたが、僕が理解できた範囲では星について書いてある箇所はありませんでした。
これでは一体星は何を基準に付ければいいのか、単に好き嫌いで星を灯せばいいのか、三つ星なら値段相応なのか、標準的な他人にお勧めできる度合いなのか、自分の特殊な事情は排除しなければいけないのか、なんなんだ。そのうえ、好き嫌いだけではなく理由も書けと言うことですから、なかなか大変です。僕の仮説では、作品の要因から一足飛びに星へはたどり着けないため、その間に自分語りが入ってしまうのです。作品の要素 + 自分のこと = 好き嫌い。たとえば、犬が沢山出てくる映画があるとしますよね。それだけでは好き嫌いは説明できません。以下のようになって初めて好き嫌いの理由を説明できたと言えるでしょう。
「私は幼い頃、犬の集団に襲われた経験があるので群れている犬を見るだけで恐ろしく、また最近刺激に乏しい生活を送っているので恐ろしい映画を見たい気分だったのでとても楽しめました / 101匹わんちゃんの感想」
こんな感じです。つまり、誠実に好き嫌いの理由を書こうとする人ほど、自分について語らざるをえないのではないか? ということです。おっと、少し書きすぎてしまいました。これについてはまた次回以降に。
最後に、僕が今まで見た中で一番好きなamazonのレビューを紹介します。映画『ガタカ』のDVD版(ASIN:B00006S27K)のカスタマーレビュー、冒頭部分です。

科学という非情なものによりどんどん仕分けされて、人類って物質の一つにしか過ぎないのかもとあきらめかかった私。どんなに物があふれていても、どんなにいろんな物がお金で買えるようになっても、そんなことには振り回されない素敵さが人類に残っていたよ。良かったね。

おまえかよ!! みたいな。伝わったでしょうか、つまり通常レビューの冒頭には全く必要のないストーリー要約が付いているものなのですが、このレビューはいきなり自分の話から始まっているのです。これは本当に度肝を抜かれたし、いまも好きなレビューの一位です。
(レビュー単体ではなく、一つの作品に対するレビュー全体と言うことなら、amazon.comの『モテる技術』の原著、『How to Succeed With Women』(http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0735200300/)についている253件のカスタマーレビューが好きです)