こんにちは(6) / amazon(2)

続き

あれだけ沢山の、同じ商品について書かかれたいろんなレビューが花屋の店先に並んで、人それぞれみんな好みはあるけれど、比べてみるとその違いは勿論レビューを書いた人が違うことに由来しているのだから、自分語りが入るのは当然です。一人一人が一人一人違う種(シード)を持つ特別な存在だからです。
自分語りは必要なものです。これは作品でなく家電で考えるとわかりやすいですが、興味深いカスタマーレビューとは製品の概要やカタログスペックではなく、実際に使用した後の感想や、生活サイクルへ組み込んだ時に起こる生活の変化について触れているものです。家電では実際の使用環境や用途にあたるものが、作品で言えば自分の経験にあたり、生活に起った変化(Tivoの消化に忙しくて性生活が貧しくなった、等)が、作品に触れたときの感動を自分の情動としてレビューに書き込むこと(悲しくて涙が止まらない)にあたります。
では、なぜ自分語りのうざいレビューとそうでないものがあるかといえば、それは単に書き方の違いで、レビューに使う言葉と言い回しが整備されている場合には、その中に自分特有の判断を知らず知らずのうちに埋め込んでしまい、作品に押し付ける形で書くことが可能だからです。昨日の例でいうと「集団で行動する生き物に対する恐怖を描いた爽快な作品」とでもいえばよいです(これは実際、そのようにも鑑賞できる(鑑賞した人が居た)というだけの意味です)。良いです、というか、まぁどう良いのかさっぱりですが……。
このあたりは「こんにちは」の主要なテーマなので詳細は後日に譲りますが、一つだけamazon固有の問題に触れておくと、たとえば「私は楽しめたが万人向きではないので星一つマイナスしました」などの意味不明な配慮は(amazonでは)しなくてよいのではないかと思います。自分には理解できないがある意味傑作(かもしれない)、という状態は一人のレビューが伝える(から読み取る)ことではなく、沢山の星一つと少数の星五つというレビュー全体の状態から推測されることだから、遠慮無く星一つにすればいいと思います。株価予想ではないので、何でも折り込むのは考え物です。そういう配慮を突き進めると、レビューの点数を予想するゲームになってしまい、そこにはもう作品と私の入る余地は無くなってしまいます。

なぜamazonなのか

なぜamazonに書くのかわからない、というのは自分のサイトがあればそちらに書く方が良いのではないか、と思うからです。amazonでは他のレビュアーと対話をすることも出来ないし、反応も(少)ないだろうし、作品を鑑賞してから思ったことやそれに関連する色々な奇想、深読み、背景に対する洞察を書き散らすことも出来ないし、あらゆる意味で不便ではないか。amazonのレビューを書いている人は自分のサイトをもっていない(自分のサイトをもっていない、のがそんなに特別だという考え方が既におかしいのかも知れませんが)のだろうか、いや、ひょっとしてあの商品券が? 一体なぜ?? 一つ思いつくのはamazonにレビューを書いた方が人の目に触れる回数は多いだろうということですが、それだけで書く気になる物でしょうか。
もう少し実際に書くときのことを考えると、激同問題があります。激同問題とは、自分の書きたいことが既に書かれていると、激しく同意するくらいしかやることがないという問題で、amazonのようなサイトでは十件程度レビューが付いていたら、僕のような人間は全く書くことを思いつけません。一度レビューを書いてから他の人が既に書いていることを引いていくと一行も残らないでしょう。でも星は最終的に平均星で表示されるのだから、全く同じ内容のレビューであっても二つあるだけで重みが違うのだろうか?
これに対して、自分のサイトでレビューを書く場合には、趣味の開陳効果まで期待できる。たとえばblocの予定開陳とか、mixiの趣味開陳としてのコミュニティーとか、「だれにアピってるの」(by 熊井友理奈さん via id:BerryzKobo:20050315#1110842008)的な意味もあるのにamazonではそれは期待できない。
(今思いつきましたが、これらのサービスは趣味開陳を自然に行えるので流行したのではないでしょうか。RW(リアルワールド)では服装が果たしている役割です。Audioscrobblerは"それしか"機能がありません。僕がなぜそんなに趣味開陳を憎むのかというと、自分ではなかなか言いにくい、正確にはわからないですがなにか"複雑なもの"があるのは否定できません。念のために付け加えると、僕はレビューを単なる趣味開陳よりもずっと上等(偉そうですいません)なものだと思っているのであり、出来れば書きたいと思っています。しかしどうもそれを上手くこなすためにはもっとそれに使える言い回しの幅を広げる必要と、色々なことを知る必要があるようです)
僕は30歳までにSF感想サイトとしてSFアンテナに登録されるのが夢ですが、amazonにレビューを書いていてもそれは起らない。というところで今日はお開き……。
ここは同じ事を何度でも繰り返し頑張って書くブログです。