二人の子どもがいて、片方が男である場合に、もう一人も男である確率

昨日twitterで見かけて思い出したんですが、以前からよく見かける確率の問題で、

二人の子供のいる家庭がある。そのうち一人が女であることがわかっているとき、二人とも女である確率を求めよ。

というのがあります。この問題の答えは、1/3だとされることが多い。理由としては、二人の子どもの組み合わせとして(男、男)、(男、女)、(女、男)、(女、女)の四通りの組み合わせが考えられ、そのうち女の子が含まれる組み合わせは、(男、女)、(女、男)、(女、女)、であり、二人とも女の組み合わせは三つ中一つしか無いから、であると。
要するに、上の問題を

二人子供のいる家庭がある。そのうち最低一人は女であるとき、二人とも女である確率を求めよ。

と等価であると解釈すると1/3になるわけですが、これ元の問題とはぜんぜん意味の違う文章です。"そのうち一人が女であることがわかっている"というのを普通に解釈すると、二人のうちどちらか一人だけを確認したら女であった、ということであり、この場合、もう一人の性別にはなんの影響もしないので、もう一人も女である確率は1/2です。
もし、"そのうち一人が女である"というのを、"特定のどちらかが女"ではなく、"二人を観測した上での一人は女"だと解釈するのであれば、もう一人は確実に男です。二人とも女だったら、"そのうち二人が女である事が分かっているとき"になるはずだからです。
しかし、もちろん"一人"を人数だと解釈するのは不自然なので、僕はこの問題の答えは1/2だと思います。もし問題文が、

二人の子供のいる家庭がある。そのうち一人"は"女であることがわかっているとき、二人とも女である確率を求めよ。

であれば、1/3でも1/2でもいいかな、と思います。文章の解釈次第。この問題の場合は、最後が"二人とも女である確率"なので、1/3もありえますが、"もう片方が女である確率"になるとこれも1/2の印象が強まるかなーと思います。
回答が1/2でも1/3でもありうる、というのは結構触れられていて、元の問題文は"確率の基礎的例題"から借りてきたんですが、こちらでも、二つの回答がありうるとされています。
この問題に関して、"確率は直感に反することがある"と説明されているケースが見られるのが実に気持ち悪いというか、確率が直感に反しているのではなく、文章の解釈が直感に反しているのだと思う。

その他の場所での説明

これに類する問題は大体が1/2であると解釈するほうが自然な問題文が多いと思ってたので、いくつか正確な問題文を収集しようと思って検索してみました。つまり、僕だって問題文が

全くの同確率で男女が生まれる地域で二人子どものいる家庭を1000家庭集め、その中からある一家族を指定。その家庭の子どものうち、最低一人は女であった場合、二人とも女である確率は?

だったら答えは1/3しかない、と思うからです。
あなたはビルゲイツの試験に受かるか? - その46 問題の理解とスピード回答では、"2人の子供を持つ母親がいる。そのうち1人は女の子であるとき、もう1人の子も女の子である確率はどれだけか?"という問題文でした。
僕は、この問題の場合も上記のとおり、1/2だと問題文を解釈するほうが自然だと思います。しかし、このページでは、これを1/3だと解釈するほうが良いという理由も説明してあるので、引用します。

この問題の中身をよく読みその真の意味を理解しないと、どうしても「次に生まれた子が男か女か」という問いとしか受け止めないことになるのです。しかし注意深く読めば、この独立・従属をきちっと見極めて正解へと進むことができるわけです。
つまり、当設問で「もう1人の子も女の子である確率はどれだけか?」の部分を「もう1人の子が女の子である確率はどれだけか?」という具合に、「も」を「が」にして単独形として受け止めてしまうと、前文の1人が女の子であることとはまったく無関係に、単に「もう1人の子」というそのこと自体が起こる独立した事象として解釈してしまいがちになるということです。

一人は女の子なのだから、二人目も女の子だったら助詞"も"を使うのが自然なのであって、そんなことから"真の意味"に辿りつくというのは難しいというか、それが"真の意味"であるかは問題を出した当のビル・ゲイツにしかわからないはず。そもそもビル・ゲイツが問題を出したのなら、"も"だとか"が"などという違いは発生しないのであってalsoでも付いてたのかなぁ、と原文を探してみましたが見つかりませんでした。
とにかく、私が言いたいのはこんな悪問としかいいようのないくだらないクイズは許せん!! ということです。百歩譲って、1/3とも1/2とも解釈できる、が正解であるならば、問題を出した人は意地が悪いな、と思います。

もっと良い問題文

もっと意図が理解しやすい問題文を考えました。

ある家庭に二人の子どもがいます。その家庭では、今年ひな祭りを行いました。さて、この家庭が二人姉妹である確率は?

これだったら1/3で納得します。どうでしょうか。