『テイルズ オブ ヴェスペリア』85点(100点満点中)

XBOX 360に対してユーザ同士のコミュニケーション機能に優れるというイメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、そんな生易しいものではないです。設定にもよりますが、今XBOX 360を立ちあげているか、立ちあげているならコンソールにいるのか、ゲームをしているか、ゲームをしているならどの画面、モードにいるか、までリアルタイムで通知されるし、あるゲームをどのレベルまでやりこんだか(1000点満点での評価)の履歴も公開されます。公開されること自体は構わないのですが、公開されるステータスには必ずファッション問題がつきまとうので、そこだけは意識する必要がある。というか、意識せずに済ませたい。
ゲームは、音楽と違って非常に所要時間コストが高いので、ファッションのみでゲームを消費するのは難しい。かっこいいから、という理由だけでGTA IVをクリアすることは出来ない。GTA IVを購入した理由のうちの一つに、日本未発売の洋ゲーを英語でプレイすることに対する憧れがあったのは否定出来ません。GTA IVはクリアできておらず、途中で止まったままです。やはりストーリーが大きな意味を持つゲームを理解できない言語で遊ぶのは無理があった。
逆に『テイルズ オブ ヴェスペリア』(以下TOV)はプレイしていることを知られたくないので、購入を躊躇したゲームです。購入を躊躇した事に気付いたので、反動的に即購入しました。それから週末を丸々二回ほど潰してクリア。『テイルズ オブ ヴェスペリア』は面白かったです。前半はストーリーを楽しめたし、後半は操作するキャラクターを変えながら戦闘シーンを楽しめました。興味深かったのは、TOVの扱った時代が世界の在り方の転換点であることです(以下ネタバレ)。TOVの物語が開幕する時点で世界には魔法があります。魔法はありますが、これを扱うには装置とエネルギーが必要であり、魔法を研究する人々は科学者として描かれています。魔法は上下水道やらなにやら、生活のあらゆる面を支えています。発現の仕方が現実とは異なるので魔法と呼ばれていますが、実際には科学です。物語が進むと、このエネルギーの利用にはリスクを伴うことが明らかになります。主人公たちはエネルギーと便利な生活の放棄を選択します。同時に、人間とは別種の、知性をもつ長命な生物が四大元素を司る精霊に生まれ変わり、世界自体が無色のエネルギーではなく、精霊に司られた力で満ちるようになります。ということで全体の流れとしては、良くみられる科学文明崩壊 → ファンタジーな世界への変化、ですが、主人公の行動、選択にそのような巨大な意味をもたせるのがインフレっぽくて興味深い。つまり、どんなに強大な魔王を倒してもそれは結局今の生活を変えなかった、ということでしかないわけですが、そんな限界は軽々と打ち破るし、比較的低年齢層向けであるらしいシリーズにそのような物語を組み込んでも特に破綻せず受け入れられるという進歩具合がすごい、と思いました。