Geometry Wars: Retro Evolved 2が美しい

Geometry Wars: Retro Evolved 2(以下GWRE2)が面白すぎる事についてはいろいろなひとが説明しているので、僕はGWRE2の美しさについて説明したいとおもいます。
GWRE2には六つのモードがありますが、システムは一つしか存在しないところが美しい。そしてまた、その一つしかないシステムを構成する要素の一つ一つがシンプルで美しい。たとえば、敵の動き方にしても、直進して壁に当たると折り返す、自機には引き寄せられるが、自弾からは遠ざかる、周囲のものを引き寄せる、など、タイトル通り、幾何学的に設定されており、性質自体は全てのモードに共通。GWRE2はひとつの系を六つの切り出し方でゲームとして成立させています。
GWRE2は、まったく現実と結び付かない、演算によって完全に表現された一つのシステムの中に、唯一演算されない存在として入り込んで遊ぶゲームであり、これは現実をシミュレートする方向に進化していく多くのゲームとは発想が正反対です。たとえば、レースゲームがよりリアルになる、だとか、RPGのストーリーが一本道ではなくなり、主人公の行動に応じてNPCの反応が変化するようになる、という向上について考えます。ハンドルを右に切ると画面に描かれた道や敵車が左にずれる、というところからはじまって、3Dのモデルを導入し、現実に近い物理演算を使う事でより実際の車を運転する感覚に近付く。同じセリフしかしゃべらない村人が、主人公のパラメータや、さらにはそれ以外の動的に変化する状況に応じた独り言を喋る。というのは、現実を頂点にして、粗雑なモデルからより実際に近いモデルを裏側に採用していく事で達成される進歩です。ただ、どこまでいっても現実ではないので完全に構築された世界という感じはしない。GWRE2は現実を模倣しようという気がさらさらなく、まず直観物理に沿う形で完全にシミュレートできる世界を構築し、その中にゲームを組み立てているのが美しく感じられる理由ではないか。