エウレカセブンについて(2)

もうどう考えても大人だとしか言いようがない年齢なので以降一人称は俺としたい。俺はすっかり自分の考えにのめり込んで、肝心なことを忘れていた。絶望病。死に至らない病。なんとも皮肉なおなまえ。
司令クラスターが破壊されると絶望病患者が意識を取り戻した。俺が今日巡回して得た知識によると、それは絶望病患者の意識が司令クラスターの作り出す精神世界に囚われていたかららしい。精神世界……。これが事実だとすると俺が昨日夢想していたエウレカセブンは見当はずれも良いところ、全然ストーリーが理解できていなかった、ということになる。司令クラスターがしていたことはもっとありふれた事でしかなくて、本当にがっかり。クラスタリング組んでもあの程度、でかい描かれかただったのに、しょせんはエウレカさんやアネモネさんにまとめてフェイルオーバーできる程度の機能しか持っていなかったのです。
あの図書館にいた人たちが絶望病患者だったのだとすると、司令クラスターは、緑色の棒(名前をど忘れしました)を端末にして人間が内部にアクセスできるようになってた巨大な演算装置でしか無くって、レントンの姉もシミュレータ上で走ってる移植された人格ではなく、依然としてどこかにある、か、融合されても独自に機能している脳が駆動してる人格でしかなかったので、なんて夢がない話なんだ。だが不思議なのは、俺はすっかりスカブコーラルを演算装置だと思っているが、そのような説明をアニメ内で見た記憶がないので大幅に自分の想像で話を補っている可能性が高く、実際の所、放送内でどのへんまで解説されていたのかを全く思い出せない。今日の巡回ではあれは精神世界と呼ばれていたので、精神世界なのかも知れない。精神世界がどういう所なのか解らないが、エミュレートされた人格が生存しているような散文的な世界ではなく、もっとなにかスピリチュアルなところであろうという想像は出来る。そもそも、レントンが姉と話しているときの記憶はその後のレントンにも引き継がれているのだから、あれがレントンのスカブコーラル内でのコピーではないことは確かだ(もしくはコピーレントンの記憶をリアルレントンに移植したのかも知れないが、そんな面倒な話があるだろうか)。全話見ているのは確かなのだが、最終回直前の説明的な回を一度しか見ていないのが良くないのかもわからない。もちろんそのころはこの後エウレカレントンや、一番にはアネモネがどうなってしまうかに興味津々でわくわくしていたのであって、どの辺がPhilosophy Fictionであるかなどには一片の興味もなかったので仕方ない。
今必死に思い出してみたが、たしか、スカブコーラルは融合することでしか他の生物とコミュニケートできない、というような説明が、確かあった。聞いた記憶がある。だからやっぱり、レントンの姉は融合した、のであって、シミュレートされているわけではないのだろう、本当にがっかりです。俺は映画マトリックスのストーリーがいまだによくわからなくて、何故ネオ達は仮想の現実を壊そうとしたのか、を未だに考えているのですが、映画の記憶がどんどん薄れていくので全く解決する見込みがない。映画を見ているときは特に疑問に思わなかったので、無理のある流れではなかったはず。エウレカセブンはどうもみんなして計算可能性の世界に移住する、という話ではなかったようなので残念だが、そう考えても別にダメなわけではないのでそう考えたい。そう考えると、マトリックスエウレカセブンは真逆にストーリーが流れるわけだ。マトリックスは演算された世界は嘘なのでぶっ壊してやる、みたいな話で、エウレカセブンはちょっとした事情があって演算される世界に移住する話。