真紅の女海賊 めーぐる(2)

日記に飽きたので小説を書きます。物語を駆動する力がないので、設定は人のものを借ります。『真紅の女海賊 めーぐる』です。『真紅の女海賊 めーぐる』はid:BerryzKobo(ID消去済み)さんが一話だけ書いて、その後放置されている物語です。現在は読めませんが、はてなブックマークで一部確認できます。僕が一度読んで記憶している設定はこれくらい。

  • めーぐるは民宿(か、ただの民家)の娘であり、かつ、(真紅の)女海賊
  • めーぐるの一人称は"あたい"
  • "私"は民宿で一泊し、とびきりかわいい娘(めーぐる)とちょっと一緒に飲んだりなんかいい感じになったりする。夜中に海岸の洞窟へ向かうが、そこで背後から一撃され昏倒する(hide in shadowからback stabされる)
  • 第二話以降はミュージカルバトン形式で書かれるはずだったので、僕がバトンを受け取る、と言う形です(以前にバトンを受け取った人がいるかどうかは不明。多分いない)

ハロプロ創作系にも色々あり、ハロプロメンバーが現実と同じ立場で登場するものをリアル、性格や挙動の傾向のみを使用するものをアンリアルというらしいです。めーぐるはもちろん宿屋の娘ではなく女海賊でもない(実際は中学生でありアイドル)のでアンリアルに分類されるはずです。

(承前)

洞窟の中は穏やかな間接照明で満たされていた。どれだけ目をこらしても光源は見当たらない。余程のセンスに恵まれた人間が内装を担当したに違いない。こうしたシンプルな技術ほど、努力では獲得出来ないものだ。軽い嫉妬から躍起になって光源を探していると、壁際に大量の人骨を発見した。手を取り合って今にも踊り出しそうな一対の人骨などはイメージキャラクターとして自室に飾っておきたくなるほど愛らしかったが、現状を考えれば怖気が走る代物だとしか言いようがない。洞窟に住まい旅行者を襲い喰らっていたという欧州の大家族について考えた。近親婚によって人数を増やしていたという。まだ写真もない時代の話だから、大家族がどんな姿をしていたのかは想像するしかない。父親は大柄な体格で、右手に斧、左手には一家を指揮するための楽器(ホラ貝など)をもっていたのではないだろうか。そんな立ち姿が実に絵になる。ただ、旅行者に襲いかかるときには全く別の一面を垣間見せる。右手に斧、垂直にピョンピョンと飛び跳ねる、そんな大男にもし出会ったら、どんなにリラックスしたオフシーズンのリゾート気分もたちまち消し飛んでしまうだろう……。
「やっと気づいたのかい」
間接照明の暗部から声がする。どんな時でも気分の切替だけはバツグンに上手い男として周囲から一定の評価を得ていた。今回も、旅行者の哀れな末路に対する恐れは一瞬で晴れ晴れとしたスポーツ感覚の集中へと切り替わった。身体感覚が冴え渡る。それまで全く気付いていなかったが、左足のふくらはぎに長さ30cmほどにわたる深い傷があるようだ。気が付くと急にしくしくと痛み出した。どうしても我慢出来ない種類の痛みだ。痛みに対する怒りを細やかな肉体の操作への意識に昇華して左腕に集中した。小刻みに震えだした左腕は決して攻撃的な衝動を抑えているためではないことを示すために最高の笑顔を用意する。同時に、右手を左手首に添えることで、力の奔流を押さえる気配りを見せると、やるっきゃないの精神で声のするほうへ振り返った。
「おまえはさっきの!! 宿屋の…… 娘……」
「フン……。あれは世の忍ぶ仮の姿。あたいは海賊なんだ! アンタなんでここに来たのさ!」
(続く)
バトンなので欲しい方に差し上げます。海賊話なので命がけでカジキ漁をするうめさん一家などを出したい。