本を読んでも読めてないことについて(1)

将来編纂されるブログ基本語彙1500に必ずや収録されるであろう単語、「アイロニー」「シニシズム」辺りをちゃんと把握していなかったので、なんだか読んでて頭がぼんやりしてしまった部分が多く、反省の意味もこめて、「アイロニー」「シニシズム」「ユーモア」について調べてみたいです(まだ調べてません)。最終的には、それらの言葉を使って、"縁環を裁ち斬る者(サークルクラッシャー)"≪過剰にヒロイックな異名≫*1問題で使用されたアイロニーや、シニシズム的な立ち位置について考える、つまりそういったタームがちゃんと使えるかどうかを確認する作業として。なぜなら、いまさらサークルクラッシャーについて普通に触れたのでは、オメガブロガーの汚名を覚悟せねばならないからです。
アイロニーについては、アイロニーのコミュニケーション論がとても面白かったです。ちなみに、『嗤ナショ』に載っていた図は、リンク先“仮人称発話”説の図と同じものでした。
アイロニーの本質?はともかくとして、とりあえずアイロニーとは反語、本来の意味とは反対のことを言って、強調するレトリックのことだそうです。反語といえば、「かつて、パンツがこれほどまでに私の体の面積を占めたことがあっただろうか。いやない。」という、古文のアレです。例文はgoogle:だろうか、いやないで一番に表示されたところから引用させていただきました。

ABC12345 山田花子 村上春樹について

私は村上春樹は一流の作家だと思うのですが、みなさんはどう思いますか?

XYZ98765 川本太郎 RE:村上春樹について

村上春樹ですか?まさに彼こそ超一流の作家でしょう!(爆笑)

では、「村上春樹ですか?まさに彼こそ超一流の作家でしょう! いや、そうではない」とはなっておらず、「いや、ない」は省略されるようです。つまり、一人ボケツッコミから、ツッコミを取り除いた、一人でぼけっぱなし、みたいなもの、しかも、それがネガティヴな印象を与えるものをアイロニーというのだなぁ、というところまでわかりました。
ところで、上の、村上さんの例では、反意表明というよりも、つまり村上さんは明らかに一流の作家であるので、それを違う、といっているのではなく、村上さんを一流であると確認したがる行為、を馬鹿にしている感じがします。世間一般の評価体系全てをアイロニっている、村上さんを一流と評価する体系にそった評価(村上さんが一流)をすることで、体系全体を馬鹿にしている。たとえば、今三振したバッターに向かって、あいつは本当に夜の三冠王じゃなぁ、というのとは違う、何故ならそいつは明らかに三冠王でないけど村上さんは一流の作家だ、というのはまず誰にとっても嘘ではないので、これは重大な違いのような気がします。

*1:"縁環"は"円環"の誤りではなく、"サークル"の"俺訳"的訳語