本棚

名前のかっこよさでウィトゲンシュタインの右に出る哲学者は居ない。僕の本棚には何冊か赤くて緑なウィトゲンシュタイン全集が紛れ込んでいるのですが、僕とて名前がカッコイイ、たったそれだけの理由で安くも無いこれらの書籍を購入したわけではありません。
三年程前になりますか。僕は当時オブジェクト指向に首っ丈でして、街行く車を見ては、「CarとTire。ああ、これはhas aの関係だな」などとぶつぶつ呟いていました(一輪車を見ていたわけではありません)。そんな時にとあるオタク雑誌で見かけたのが、「アメリカではオブジェクト指向を学ぶ人にウィトゲンシュタインが売れている」との文句でした。当時から勉強家(特に哲学、心理学、社会学にはまってる人、しかもメチャメチャ多かったんだこれが)と芸術家の卵に深いコンプレックスを抱いていたサブカル落ちこぼれの僕は勇躍、新宿紀伊国屋に向かいました。実は、以前に新宿紀伊国屋のコミック売り場でバイトをしていた事があるのですが、あそこのヤオイ比率の高さは驚くべきものでした。詳しい話は関係ないので省略しますが、とにかく紀伊国屋の三階だか四階だかで何冊かまとめて購入し、苦労しながら読みました。
正直読みつづけるだけで苦痛でしたが、その上、オブジェクト指向を学ぶのには全く参考になりませんでした。まぁ、言語を扱ってるんで多少は重なる部分もありますが、それもだから何って程度で、わざわざありがたがって馬鹿じゃねぇの、つぅか、構造化といいなんでああいうのが好きなのかねぇ的気分と、大学で情報処理学んでるエリートな人かもしくは哲学科で且つプログラマーなハイブリッド人にはこの良さが分かるのかもという敗北感に打ちのめされつつDDRに狂っていたあの頃。

今日本棚の整理をしていたらイアン・ジョイナー著、「オブジェクト指向言語のはなし」の隣にウィトゲンシュタインの「哲学探究」が置いてあって以上のようなことを思い出しました。「オブジェクト指向言語のはなし」はJavaC++とEiffelを比較しながらオブジェクト指向言語について語るというタイトルママの内容なんですが、面白いです。総称の話なんかを読むと弱い型を持つ?Rubyってすげぇみたいな気分になったりしますけど、役に立つ知識かというと役に立たなさそうで、新人には憂鬱本でも薦めた方がよさそうですか。