1 : nのゲームで勝敗に揺れを作るプレイヤーの操作/キャラクターの個性

1 : nのアクションゲーム、たとえば、ダークソウル、真・三國無双ベヨネッタ、そういったゲーム、をやらない(し、上手くもない)ので、それらのゲームが上手いということはどういうことなのか、プレイヤーの操作のどこが結果に影響を与えているのか、ということを考えてみたい。

また、単純な属性の相性(土が火に強い、などの思想)を導入せずに、特定の状況への対処に有効なキャラクター(例 : 雑魚の掃討は得意だが、強力なボスは苦手)を作るにはどういった方法がありうるか、も検討したい。

プレイヤーの操作するキャラクターを"PC"、n体出てくるコンピューターが操作するキャラクターを"敵"(なんだ、敵か!?)とする。それぞれ、HP、スタミナというリソースをもち、HPが0以下になれば死に、スタミナが一定以下の場合はコストが必要なスキルを出せない。程度の前提から始める。

テクニックの効果

テクニックによって生じる有用な効果は二種類ある。

  1. 敵に与えるダメージが大きい(DPSが高まる)
  2. PCの被ダメージを低減する

キャラクターの状態

キャラクターにやられ/ガード/無敵状態があるかどうか、は非常に大きく関わるので最初に検討したい。

やられ状態

キャラクターに"やられ"状態が存在する場合、まず、"やられ"継続中に連続してヒットする攻撃を追加することでDPSを高めることができる。また、敵が"やられ"状態になることで、敵の攻撃を遮ることができるため、被ダメージも抑えられる。

敵が"やられ"状態にあることを維持するテクニック(コンボ等)は非常に重要であるし、出かかっている敵の行動を阻害するのは、攻撃が当たった感覚を演出する上でも有効だが、1 : nの状況では扱いが難しい。"やられ"状態には継続する時間的な長さ、が存在するので、特にPCがダメージを被る状況において、複数の敵から受ける攻撃によってやられ状態が継続し、システム上の対策を入れなければ、死ぬまで脱出不能になるケースが有る。また、"やられ"状態の継続に成功した場合、効果が高すぎるため、同じ条件でも極端な結果が出る。あるプレイヤーは無傷で切り抜けられたが、あるプレイヤーは一瞬で死んでしまった、ということがあり得る。

やられ状態継続能力で差をつける場合、コンボは得意だが攻撃力自体は低い、というキャラクターを設定し、やられ状態になる雑魚敵には強いが、スーパーアーマー状態(攻撃を受けても"やられ"にならない)になることが多い強力な敵相手には有効打に欠ける、という個性をつけることが可能。

やられ状態は、アクションゲームではよく見るが、見下ろしシューティングゲームや、MOBAでは導入されていないことが多い。シューティングのボスは弾を打ち込まれても攻撃をやめないし、Dota 2で"やられ"に相当するであるスタンは特殊なスキルの効果、または確率で発生する特殊効果(バッシュ)であり、連発できない。やられ状態が存在しない場合、お互いが足を止めて撃ちあった際のダメージが容易に計算可能ため、難度の設定がしやすい。

ガード/無敵回避

ガード/無敵回避を使用するテクニックは、基本的には敵の攻撃パターンを覚え、攻撃が発生するタイミングでガード/無敵回避を発生する。"やられ"と同様の問題があり、 1 : nの局面では敵の攻撃タイミングが複雑になるため、有効性が極端に下り、キャラクターの状態ではなく、位置の移動による回避のほうが有効になる。

ガード/回避能力で個性を出している例としては、モンスターハンターにおける、武器種によるガード/回避能力の差、などがある。

キャラクターの数値的な特性

防御力の概念があるゲームの場合、キャラクターが頻繁に使用する攻撃のダメージ数値、でキャラクター間の相性をつけることが可能。防御力が存在しない場合、秒間1回攻撃 100 dmgと、秒間2回攻撃 50 dmgであればDPSはどちらも100で同一だが、防御力20を差し引く場合、80と60になり差が出る。防御力の高い敵に強いキャラクターなどを設定可能。

GURPSでは"突き"属性なら防御力を越えた分を二倍などのシステムがあったのでより相性を強く出すことが可能だが、1 : nのアクションゲームでそういった要素が向いているかはよくわからない。

1 : 1の位置関係

1 : 1の位置関係について単純に考えた場合、持続的にDPS/被ダメージに影響をあたえるのは、Aの攻撃射程がBより長く、かつ、Aの移動速度がBより高い、場合である。この場合、Aは一方的にBを攻撃できる。条件が満たされていない場合、いずれ双方の攻撃が当たるようになる。

足が速く射程が長いキャラを設定した場合、1 : 1では強い(が、1 : nでは回り込まれるケースが有るためそれほど有効ではない)キャラとすることができる。

フィールドの壁や、敵キャラの移動範囲が有限に設定されている場合(つまり、ほとんどの場合)はこの限りではない。

1 : nの位置関係

1 : nの位置関係は範囲を対象としたスキルのDPSに非常に大きな影響を与える。つまり、スキルが単体の敵を目標とせずある範囲を対象とする場合、そこに含まれたm体分の敵にそれぞれに対してダメージが発生するため、ダメージ/コスト効率が、1体を対象とした場合と比較して、m倍になるためである。

しかし、これはもちろん、範囲内のすべての敵に均等にダメージが入る、という、直感的なのかどうか、よく考えるとわからないルールに基づいてそうなっているのであり、たとえば、範囲内の全員に均等に分割されたダメージ、でも、ある方向から見て奇数番目の対象にだけ大ダメージ、でも、範囲内の数が7だった時だけ全員に大ダメージ、でも別に構わないのであり、そういったスキルに加えて、そうした状況を発生させるために必要な補助スキル(移動を制限する、強制的に動かす、等)を組み合わせたり、もっと進めてパズル的なルールを持ったものを持たせていけば、色々なキャラクターに活躍の場が与えられるのでは……。