ベルトについて

朝起きると部屋からすべてのベルトが消えていた。ベルトは非常に無くしやすく、また、付けていくのを忘れがちな衣類でもあるため、その管理方には試行錯誤してきた。
最初期は、複数のズボン + 一本のベルトであった。この場合、ズボンを穿き換えるタイミングでベルトを付け換える運用となるため、ベルトを抜き差しするのが面倒で毎日同じズボンを穿きがちになるという欠点があった。毎日同じズボンを穿くことの有害さについては、それほど深刻には捉えていないので、時期によって、複数のズボンを所有しているにもかかわらず、毎日同じズボンを穿いていた。つまり、毎朝、ベルト抜き差しの面倒さに負けて、同じズボンを穿いてしまっていた。長期的には、毎日違うズボンを穿きたい、とおもっているため、すべてのズボンにあらかじめベルトを差しておく、という対応策を考案し、実行に移した。実際、これはなかなかのアイデアで、かなりの確率で前日と違うズボンを穿くことができるようになった。もちろん、前日に穿いたズボンが記録してあるわけではないので、完全に、というわけにはいかないのだが、それでも、ほとんどの場合、違うズボンを穿いていた、のではないかと思う。
しかし、不思議なもので、一本の時は無くしたりすることのなかったベルトが、複数になるとどんどん無くなる。あんなに沢山あったベルトも、ついに最後の一本となるまで減ってしまった。最後の一本はなかなか無くならないので、ここ数ヶ月は一本のベルトで運用してきた。漠然と、毎日違うズボンを穿きたい、とは思うが、毎日違うベルトを身につけたい、とは思わない。ベルトはほとんど見分けがつかないものばかり所有していたので、本当に一本しかないのか、その時々で目に映るベルトがたまたま一本しか存在しないだけなのか、は、はっきりしないが、今朝はその最後の一本も見あたらなかった。ズボンを洗濯したので、ベルトを差したままだったのではないか、とベランダも覗いてみたが、ズボンの中にはハンカチしか入っていなかった。ベルトは付けなくても出社が可能であるため、かなり悩むことになった。なくなったのがズボンであったら、悩むことなく出社を取り止めたのだが。
出社すると、PCが立ち上がらなくなっていた。PC墓場に行って、同じ型のPCを取り出し、HDを載せ替えるとそのまま何事もなかったように動いたので、これはズボンとベルトのような関係だな、と思った。