スポーツクラブについて(11)

澄子
とても退屈なミーティングだったの。だから、ずっと正面に座っている彼女を見ていたわ。だって、他に見るべきものがなにもなかったし……。彼女はミーティングの参加者ではなかったけど、ちょうど見やすい方角にいたから。彼女は、そこで、ダンボール箱に、かわいらしい人形や、真っ黒で複雑な装飾が施されたノート、をたくさん詰めていて、でもそんなに急を要する作業じゃないという感じだった。合間合間に、複数の人が彼女を訪ねてきて、プレゼントをわたし、彼女はそれを見て少し涙ぐんだりしていたから、私はミーティングが終わると彼女に訊ねたの。「どこかへいってしまうんですか? それと、このノートへむやみに名前を書きこむと人が死んでしまうのでは?」と。彼女は「いいえ、どちらも違います。これは」と、段ボール箱を指差し、「ただ机を整理していただけです」といいました
澄子
でも、驚くのは、ちょっと待って!! ここからが、この話の、一番盛り上がるところなんだから!
澄子
私が自席に戻ってしばらくすると彼女がやってきて、「さっきはごめんなさい、本当は、今月でここを辞めるんです」「何でだかわからないけど、さっきは嘘をついてしまいました」っていったの。いったい、どうして時々訳もわからず嘘を付いてしまうなんて事が起きるのかしら! あなたはどう思う?

そう訊ねられた來未は、なにを言っているんだこの女は、と、思った。そんなこと、わかるわけがないのに!