萌えとか言わないことについて

Cutie Circuit 2006はオープンスペースで行われているので、色々な人が通りすがる。オープンスペースといっても、中田が必殺のスルーパスを出したりしないほうのオープンスペースです。色々な人がオタの狂喜乱舞(に見えるかも知れないが実は長い伝統と忠実に寄り添う狂喜乱舞風に統制された大騒ぎ)、を見て、その場では驚愕の表情を浮かべるに止め、家に帰って世界中に公開される日記を書く。そういう日記を探し出して読むと、あらためてあの場のおかしさがよくわかるので非常に面白い。面白いのですが、少し事実と異なる点もあると思ったのでそのことについて書きます。
Cutie Circuit 2006に通りすがった方の平均的な日記を乱暴に要約すると、「これが秋葉系か、本当に萌えって言ってた! きんもーっ☆」となります。まず一つ、現在、秋葉原という地名から連想されるアイドルグループAKB48、と℃-uteと、その年子の姉貴分に当たるBerryz工房については非常に微妙な問題なので、安易に混同しない方が良い、ということです。これまた乱暴に要約しますが、昨年末くらいまではBerryz工房の一人勝ちだったのが、まず℃-uteに、今年に入ってからハロプロではないAKB48に推し変えをする傾向が強まってきました。推し変えは常に繊細な問題なので、それに伴っていくつか崩壊したコミュニティや閉鎖される人気日記が出たようです。で、あるから、安易に秋葉系という言葉は使わない方が良いです。他人事みたいに書きました。
もう一つ、本当に萌えって言ってた! についてですが、萌え、を口に出して言う人はあまりいないのではないか、少なくとも僕はギャグとしてではない「萌え」を聞いたことは一度もないですし、自分自身毎日毎日いろんなものにギザ萌え死んでいますが、口に出して萌えー、といったことはない、ッてか、どんなジャンルのオタも萌えー、を口に出しては言わないのではないか? 中国出身の方がなんとかアル、と喋らない、のと同じでハロオタは[これは萌える]、と言わない。代わりに、"推せる"と言う。推せる、と、萌える、は使用するシチュエーションは大して変わらないし、日本語脚韻が踏めそうなくらい発音も似てますが、ニュアンスは全く異なる。"萌える"は内発的な衝動のように解釈されますが、"推せる"は推そうと思えば推せる、と言う可能形であり、その上、AをBに推す、という形で最初から第三者が視野に入っています。何故いきなり第三者を視野に入れた言い方をするのかはよくわかりませんが、この辺にハロプロファン文化と日記文化の親和性の謎を解く鍵があるかも知れません。扉はない。