日記

河に沈む夕日を撮るのはとても難しそうです。河は水平線が見えるほど太くないからです。メコン河に沈む夕日を撮ろうとした、というのは多分間違いだと思います。間違いかどうかはっきり言えないのは良く覚えていないからです。この場合問題なのは、デジカメで太陽を撮影できるかどうかで喧嘩になったこと、そして未だにそれが出来るのか出来ないのか、出来るけどやらない方がいいのか、ファインダーを覗くのは大丈夫なのか、がよくわからない、という事で、それについては何回も考えているし、人にも話しているので間違いありません。でもその時の景色や気分は全く思い出せません。他の人の記憶を確かめたわけではないのではっきりとは言い切れませんが、僕は相当記憶が苦手な方だと思います。何回も繰り返し思い出したことしか覚えていないし、思い出すたびに、その思い出したときの言葉の流れで記憶が上書きされるようです。生の?印象は薄まっていきます。バスチアン気取りです。何回も思い出していると、特に関連のない事柄同士が、以前に相次いで思い出したから、という理由で連想されるようになります。最近酷いのは、このことは前にも一度考えた、その時と全く同じ道を辿っているから、このままだととても嫌な事を思い出して凹むだろう、という予感です。その時は咄嗟に何か全く違う事を考えます。それでもなにか嫌な事を思い出しそうな気がした、という理由不明な嫌な気分だけは残ります。逆に、なにかありふれた事、道路の白い部分だけを踏んで歩く事、について考えているといつの間にか気分が浮き浮きしてくる、というような事はありません。不公平な話です。なにか凄く楽しい事を考えていたのにうっかり何を考えていたのか忘れてしまう事は良くあります。
僕は散歩が趣味なので家の周りを毎日歩いているのですが、同じ道を歩いている時はいつも同じ事を考えているような気がするので考えるというのはどういう事か、と思います。とにかく同じ事ばかり考えているようです。僕の一番古い記憶は、幼稚園児の頃、カブトムシのようなヒーローとバイクのヘルメットをかぶったヒーローが戦う妄想に耽っていたら、家の前を凄い勢いでトラックが走り抜けていった、というものですが、これも小学生の頃に思い出していたのを中学の頃思い出したのを……、という感じであり、本当に一番古い記憶と言い切れるか怪しいです。そういう意味でちゃんとはっきり覚えている、と言い切れるのはせいぜい先週までです。