ベッカム

私の下宿から駅へ向って三分ほど歩くと、AMPMというまず知らない人が居ないほど有名なコンビニエンス・ストアがある。AMPMには生活雑貨から食料品、携帯電話にいたるまでありとあらゆる商品が一年中通して明るく清潔な店内に並べられ、まさに現代のコンビニエンス(=便利な)ストアだ。このコンビニエンスさ故に、私も毎日朝晩利用させていただいている。
AMPMは基本的に全ての商品を常に同じ値段で扱っているが、徹底した在庫管理をしてもなお大量に売れ残った商品に関しては一部半額で販売している。安売りの商品はレジ前、三段の棚に並べられており、一番上の棚には、お中元の売れ残りと思しき夜のお菓子「うなぎパイVSOP」と、戦隊シリーズチョコエッグが置いてある。私は毎日その数を確認しているのだが、ここ数日全く減っていない。うなぎパイが置いてあるにもかかわらず、朝のお菓子「すっぽんの郷」、昼のお菓子「えび汐パイ」が置いてないのは、売り切れたわけではなく、単に最初から扱っていなかった。東京のAMPMうなぎパイを扱っているのだから、もううなぎパイ浜名湖土産としては使用できないだろう。これからはえび汐パイを静岡土産にするのが良い。あと、私はすっぽん郷の方が夜のもつ雰囲気にマッチすると感じるので、併せてすっぽん郷を夜のお菓子にコンバートする事を提案したい。
話がそれた。半額商品棚の二段目からは、まさにベッカム様の独壇場である。そのAMPM明治製菓のチョコレートを大量に扱っているのだが、このチョコレートのイメージキャラクターがベッカムであり、それらは現在すべて半額で売られている。ベッカムペンケース付チョコレート、ベッカムポスター付チョコレートなどは通常それらの付録がつかないチョコレートよりもわずかに高い定価がつけられているのだが、半額になると当然その序列は逆転し、付録付の方が、ノーマルチョコレートよりも安い。つまり、ベッカムにはマイナスの価値しかない。私は三度の飯よりチョコレートが好きなので、最近はこのチョコレートばかり食べている。その所為で現在私の部屋はまったく必要とされていないベッカムグッズであふれていて、妻だけがこの事態を歓迎しているようだ。今日も私が「おーい、土産だぞ〜」といって手渡したベッカム缶入りチョコレートを見て、「あら、またベッカム様ね」と笑っていた。