シンガポールの映画館が寒い

私は良く休日に妻と映画を見に行くのだが、シンガポール映画館はとても寒い。初めてこちらで映画館に行ったときはそれを知らなかったから、Tシャツ、半ズボンで凍える思いをした。その後、何度か試行錯誤して、上にユニクロの、表が灰色、裏は迷彩柄として使えるリバーシブルフリースを羽織り、下は所有している中で一番に厚手のジーンズを着用すれば何とか終演まで凌げることがわかった。映画上映中、映画館はスクリーンがよく見えるようとても暗くなっているので、迷彩柄にしなくてもほとんど見つかることはない。
シンガポールは基本的に冷房が強すぎで、私が通っているオフィスでも過半数のスタッフがお揃いのウィンドブレイカーを羽織っている。寒いなら冷房の設定温度を上げればいいと思うが、それはしない。理由は訊いていないのでわからない。
そろそろ北半球は寒くなる時期なので、新聞に、冬の旅特集が載っていた。こちらでは北海道が人気でよく物産展が開かれているが、その記事では長野へのスキー旅行を紹介していた。スキーには一度行ったことがある。スキー場も映画館に劣らず寒い。スキー場の寒さに不慣れなシンガポール人に対して、体のぬくもりを保つためのティップスも幾つか紹介されていた。一番に挙げられていたのは"服を重ね着する!"だった。重ね着をすると空気の層が出来るため、体温が奪われにくい、という理屈。一番下に保温性の高いもの、一番上に防水性の高いものを着るのがいいのだとか。
シンガポール人は凍えるほど寒い映画館でも、男ならTシャツ一枚、女性なら肩が露出するような服装で映画と向きあっている。あれは小さい頃から強い冷房に耐えてきているからこそ可能な芸当だと思っていたが、ひょっとして、服の重ね着をすると寒さが凌げるということを知らないのでは? と私は思い、職場のスタッフに広めようと思いましたが広めませんでした。なぜなら、私の職場のスタッフたちはすでにウィンドブレイカーを羽織っているからです。