出血について

久々に血を見ました。以前は良く見かけたのですが、ここ数年、目にする機会がありませんでした。剃刀には滅法強いし、鼻血は一度も出した事がなく、林檎をそのままかじったりしないし、僕は男だからです。子供のころは道端で転んでひざから出血していたので、良く血を見ました。今、同じように出血しないのは、皮膚が衝撃に対して強くなったからではありません。簡単には、転倒しないからです。
久しぶりに血を目にしたので、懐かしい失った感覚を呼び覚まされたような気がしました。最近、このような感触をえる機会が多く、困惑しています。ギリシャ神話や、惑星の並び順や、生きる化石について、ぼんやりとした知識がよみがえったときに強くそう感じます。
血を見かけたのは、朝起きたときです。右手が血だらけになっていました。左手からも少し出血しており、を見ると顎も赤く染まっていました。前の晩に、自転車で転倒したのです。その日は朝から雨が降っていたのですが、夜には止んだので、ハンドルに傘をひっかけて、ゆっくりと走っていました。大体想像できると思いますが、傘が前輪に挟まり、傘はバキバキに折れました。前輪は完全にロックし、やり過ぎたジャックナイフの要領で僕は宙に浮き、歩くようなそのスピードのままに落下しました。受身は全くとれませんでした。両手が傷ついているので、左右にずれることなく、綺麗に前転したようです。顎には傷が残っていますが、強く前歯を打って、歯が折れたんじゃないか、と心配になった記憶もあり、それが衝撃の強さを物語っています。