「広告」の「ネットワーカー調書」について

ユリイカの特集「ブログ作法」を読んでいて、思い出したのが、隔月刊誌「広告」の2000年 9+10 月号、特集「ネットワーカー調書」。ブログ作法にはてなの話が多いのと同じように、「ネットワーカー調書」は2chの話が多い(よしだともこさんの記事も多い)。2chが出来たのが1999年の5月(と、「広告」に書いてある)、それから一年半後の特集で、まだ2ch本も、2ch専門誌もない頃だったので物珍しくて発売日に買った。捨ててなかったので段ボールから引っ張り出してきて読み直したんだけど、内容、というか記事の作り方は「ブログ作法」と全然違くて、似てるという印象を受けたのは単に僕がその時ネット上で依存している場所を雑誌が特集しているから、だった。竹熊健太郎さんが「ネットワーカー調書」にも「ブログ作法」にも記事を書いていたり、「ネットワーカー調書」で記事を書いている方が今ははてなダイアラーだったりするのを発見したのは面白かったけど。
記事の作り方が違うというのは、「ネットワーカー調書」は調書だから外から調べて書いてる感じ、自分で体験する2chとして記事を書いているのは斎藤環さんの「ケミカルガーデン」くらい(ネットワークの特集とひきこもりは切り離せませんね!)。「ブログ作法」は逆に自分がブログってみてどうだったか、という記事が多い。これに関して、2chでも匿名で迷惑をかける問題より、一日に十時間以上2chで過ごしてしまうことの方が個人的には切実な問題だったけど、匿名(というか個人を識別しにくい)環境だとそういう問題が見えにくかった、けどブログ(日記)だと「個人と日記」の関係になってしまうなぁ、2chは「2chと社会」やなぁ、あとブログやと記事を書く人も体験している以上個人として体験しているのであって観察者ではありえず、それを読む俺とも抜き差しならない関係になるなぁ、というような事を思いました。が、それはどうでもよく、僕の大発見はどうもネットコミュニティには神話の類型、「存在しない所から消える女性」があるということです!
はてなの場合はもちろんid:Ririkaさん(もう今はないIDだとわかっていても緊張します)です。そのコメント欄には錚々たるメンバーが集い、そうだな山でたとえると八合目以上でしょうか、ごはんだったら満腹です(冗談です)、談話を交わし、写真を公開すればみんなで厳しくたしなめる、ネットは危険な世界だからね!! というわけです。初めて自分で購入した本はリルケの詩集です。そして彼女は消えてしまいました。詳しくはユリイカのP216を参照してください。「ネットワーカー調書」で取り上げられてる2chの物語では、ハンドルを桜子というのですが、過激恋愛板でデビューして以来様々な、本当の話だ、ネタだ、実在する、しない、人格障害だ、云々色々な騒動があって最後は確認するためのオフ会が渋谷で開催されます。

結局、一連の桜子スレッドは「ネタ」だった。この結果に、多くの人が落胆し、憤慨し、安堵した。その後も、実際の桜子はかわいかっただの、不細工だっただの、新たなスレッドで語られた。しかし、デジタルカメラで何枚も撮影されたであろう桜子の画像をインターネット上で目にした者はいない。

「ネットワーカー調書」P27。ということなんですが、実は桜子の写真を見たことあるどころか会ったことある人も沢山いて、僕もその一人なのですが、この記事をよんで大笑いした、俺は「広告」に勝った、と思ったのを良く覚えています。だから、id:Ririkaさんについてもそういう人が居るのでは!? もしくは今頃大学でなんか、勉強しているのだろうか、と思います。