近所の川について

近所に下水処理場で処理された水を使ったコンクリ製の小川、川底以外は岩や草で覆ってあり、幅は2メートルほど、水深は一番増水している時で30cmくらい、公園の横、なにも無いところから唐突に湧き出し大通りに突き当たったところで忽然と消える不思議な川、がある。その脇にそって延びる遊歩道も市民の憩いの道になっていて、その遊歩道のまたその脇にはハローワークがあるからきっと求職中の人も随分と救われていると思う。僕も春は桜、それ以外の季節はそれ以外の名前もわからない花を見ながらその道を歩く。この川の無機質で生気が全く感じられない所が気に入っていたのだが、なぜか今年の夏はこの川に大量の生き物が発生していた。体長10cmを軽く越える魚が元気良く跳ねるのや、近所の子供が大きなザリガニを釣り上げているところを見た。これは理解を超えた異常な事態であり、なぜなら去年までは全く生き物などいなかったし、そもそも頻繁に干上がっているのだからザリガニも魚も成長できるわけが無い。何処から混入してきたのかも分からない。ひょっとして川底にわずかに溜まった泥から自然発生したのだろうか。
しかし真相は実に単純で、誰かがなんらかの目的で川に生き物を放流していたらしく、何故それがわかったかというと最近川岸の到る所に右上のような掲示がされていて、盗人に警告を発しているからです。この少し恐ろしい掲示がなされて以来、市民の間にもちょっとした壁が出来つつあり、今日も川でザリガニ釣りを楽しんでいる小学校低学年の子供に「君達これ盗って家に持って帰るの?」「ううん」「じゃあ良し」と言っているおじさんを見かけたので恐ろしかった。
夏が終わりいつも切ない。