ドクデス

実は明日から三連休なので、部屋に篭り、あと四冊にまで減ったあくたがわを一気にやっつけようと思っていたのだが、ドクデスがあるらしいので、行こうと思う。独りクラブは慣れっこなので平気かな?、でも、昔、曜日を間違えてHIP HOP?みたいなのに独りで紛れ込んでしまったときはほんときつかったので、油断ならない。
僕は、ギャル/ギャルオさんには強さを感じるので憧れているが、B-Boiには警戒心を抱いており、その原因としては数年前のある朝、僕を襲った事件をあげることが出来る(これは思い出日記です。あと、この話は前書いたかもしれない。確か、tDiaryに書いたような記憶があるからここではないと思うが…)。
日曜日の朝で、とても寒く、疲れきった僕は道玄坂の真中辺りにあるカレー屋で暖を取る事にした。カレーを食ったら元気になってバイクで帰れるかもしれない。面倒になってバイクを置いて帰ると後で回収するのが余計つらい。まだ五時前なので店内には客が一人もいなかった。僕はカツカレーを注文すると、ポケットに詰め込んであった広告をチェックしながらカレーが出てくるのを待った。カツを揚げるのに手間取っているらしく、カレーはなかなか出てこない。しばらくすると、突然周囲の空気が踊りだした。なにかすごくダンサブルなものの接近を感じ窓の外に目を遣ると、そこには10人を超えるB-Boiが並んでいるではないか。僕は不安になった。彼らは通常のB-Boiよりも悪に近づいており、Bというよりも、D(death)に近い感じだった。
僕の不安は的中し、短い合議の後、彼らはぞろぞろと闖入してきた。この時本当に後悔したんだが、僕はカウンターの真中に座っていた。まだカレーも来てないから端に移ろうかな、とも思ったが、負けを認めるようで嫌だったので、そのままなにも気付かない振りをしてフライヤを眺めていた。B-Boiは僕の左右に5、6人ずつ分かれて座り、店はほぼ満員になった。最初は彼等も意外にまともな口調(YO!とか言わない)でなにか雑談していたのだが、そのうち、一番頭の弱そうな人が「一人足りない!!」と叫び出した。人一人居なくなってるのに気付かないなんて薄情な連中だ、と思うかもしれないが、彼らは全員同じ格好をしているので一人減ったくらいでは気付かなくても不思議はない。誰が居ないのか?の前に、本当に一人足りないのかどうか?が判然としないらしく、弱い人が率先して、点呼を取る、などと言い出した。点呼はカウンターの左から威勢良く開始された。ここまでで大体想像できると思うが、しかし、点呼は僕のところで途切れるのである。こんな感じで座っていたので、点呼は6で止まっている。

壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁壁
壁              店員         |       ド
壁       大鍋                |       ア
壁___________________________| 10B
壁1B 2B 3B 4B 5B 6B 僕 7B 8B 9B
壁        弱B(こいつだけ立っている)

僕はB-Boiではないので、点呼に参加したら不味いのだ。僕が点呼に参加すると、いつのまにか仲間が一人増えた、というような不思議な結果になってしまうかもしれない。しかし、奴等にはそんな簡単な事も理解出来ないらしく、僕がナナ!と叫ぶのを黙って待ちつづけた。沈黙は数秒に及んだが、右隣の7Bがナナ、と吐き捨てるように言い、僕は一旦勝利した。
冷静に考えればわかるが、点呼を取っただけでは誰が居ないのか、まではわからない。結局一人足りなかったらしく、時代のトレンドは「誰が居ないのか」、を考える事に移行した。頭の弱い人はずっと「あっ!ああっ!俺がいねぇ!」と叫びつづけたが誰にも相手にされなかった。すぐに、居ないのは武井だという事が判明し、「武井は途中で死んだ」「武井は疲れて寝ていた」「女と消えた」「さっき先に帰ったって*1」など色々な噂が流されたが、皆に無視されて落ち込んでいた弱Bが唐突に僕の肩に手を置き、「おいおい、武井ここにいるじゃん!!」といい、これは大いに受けた。さらに、6Bや7Bにまで肩に手を回され、「おまえちょっと見ない間に変わったなー、がはは」のような事を言われ本当に腹が立ったが最後まで一言もしゃべらず、僕は店を出た。とても元気になっていたので店の前で盛大にアクセルを空ぶかしし、民主主義の原則について考えながら帰宅した。
これはここ数年間で二番目にスリリングな体験だった*2ので思い出日記の限界はこの辺にあると思います。

*1:多分これが正解

*2:一番怖かったのはボッタクリバーに行った時