直らない

僕の部屋は鍵がかからない。鍵穴に鍵の破片が詰まっていて、鍵が入らないのだ。内側から鍵をかけることは出来るから、僕が家にいるときは鍵が掛かっているし、外出しているときは鍵が掛かっていない。このことは以前にも書いた。鍵が壊れたのははてなダイアリーをつけだしてすぐの事だったから、鍵が壊れたままの状態でもう二ヶ月は過ごしているが、特に困っている事は無い。外出していても「もしかして鍵をかけ忘れているのではないか?」という神経症的強迫観念に駆られて家に戻ってしまうことが無いから、却って以前よりも自由になれた気がする。つまり僕は家の鍵を破壊すると同時に自分を囲っていた檻からも自由になれたというわけ。
でも実は今心配な事が二つだけある。一つは排水管の掃除とやらで大家が僕の部屋に勝手に入ってくることだ。其の事について布告する紙をなくしてしまったから正確にはいつの事だかわからないのだが、来週中であるのは間違いない。僕の整理整頓能力は社会人として生活していけるギリギリのラインをどちらかというと下回っているから、部屋に入られるのはとてつもなく嫌なのだが別に知らない人なので特に掃除をしようと言う気にはならない。問題なのはまず確実に鍵が壊れている事を発見されてしまうことで、それは非常に困る。何とかしてそれまでに鍵を取り出したい。友人から非常に強力なピンセット(指輪職人用らしい)を借りたのだがそれでは駄目だった。後思いつくのは鋭いペンチか巨大な磁界を持つ磁石くらいだろうか。鍵って物は一体なんで出来ていんだろう。鉄で出来ているんだろうかね。錆びないけれど。
もう一つは割とどうでもいいことなのだが、僕が今就寝中に縊り殺されでもしたらそれはまるきり密室殺人にしか見えないのではないだろうか、ということだ。実際は犯人は僕を殺してから鍵を持って部屋を出て、そのまま鍵を閉めた後、鍵を鍵穴に突っ込んでへし折ればいいのだが、それに気付いてくれるだろうか。