トム・クランシーの事

大塚英志キャラクター小説の作り方を読んで以来、小説家になって悠々生活を送るという妄想が頭から離れません。僕は小説を殆ど読まなくなって久しいので現役のキャラクター小説読者ではないのですが、頻繁に「ロードス島戦記」(リプレイ含む)を例に出して進められる本書の標準的な読者ではあるような気がします。僕が小学校五年のときにロードス島戦記のリプレイ第一巻が出たと記憶していますが、その頃クラスで流行していた他の本は、「僕らの七日間戦争」シリーズ、「ゲド戦記」なんかでしたね。
僕は「ロードス島戦記リプレイ」を読んでからTRPGをやりたくて仕方が無かったんですが、小学生の間は終にプレイする事は出来ませんでした。「ロードス島戦記」読者は僕以外にクラスに何人か居たのと、兄貴がD&Dをプレイしている同級生が一人居て一度は実現しそうだったんですが、やっぱりゲームマスターをできる人間が居なかったのが致命的でした。僕は小学生当時に限らず頻繁にTRPGをプレイしていた高校の頃もゲームマスターはやっていませんし*1、他にそこまで準備などしてくれる人間が居なかったので。
そして僕が中学生になってゲームセンターに入り浸り始めた頃に、我が家で大流行したのがトム・クランシーです。
キャラクター小説の作り方ではよくTRPGを例に出して物語や世界観、キャラクターの作り方を説明するんですが、トム・クランシーもゲームオタク?なんですよ。僕は当時出版されていた数点しか読んで居ませんが、確か、「レッドオクトーバーを追え」に"洞窟と竜というゲームを数人でプレイしているところに緊急の連絡が入る"ってなシーンがありました。そして、最初はTRPGの1プレイであった「ロードス島戦記」と同じように、「レッドストームライジング」はウォーシミュレーションゲームのプレイを元にしてかかれた小説なんですよ。「ロードス島戦記」とは違ってキャラクターの動かし方をゲームに拠ったわけではないですが、世界観や物語の流れの一部にゲームが役立ってるといえるんですかね。
そー言うわけでキャラクター小説の作り方はとてもいい本だと思うんですが、タイトルに少し違和感がありまして、「私小説以外の小説の書き方」の方がしっくり来ます。というのは「アニメの絵が表紙に描かれているスニーカー文庫のような」キャラクター小説というジャンルが実際にあるのは確かなんだと思いますが、そこに必要とされるものが他の娯楽小説と根本的に違うようには思えないからです。例えば黒豹シリーズみたいなものを書くのにだってこの本に出てくるようなテクニックは使えるんじゃないでしょうか。黒豹はライフルの弾を音を頼りにかわしますけど。

*1:実はやっていないというか性格として出来なかったわけなんですが、その時点で僕は少なくともキャラクター小説を書く資質の一つに欠けているようです