弟と電話で話した/ザレム人とレプリカントと

弟が大学の都合で東京に引っ越してきたらしく、電話がかかってきた。僕は過去に本の話で盛り上がれる人というのが周りに居なかったのだが、唯一の例外が弟である。それは僕が実家に置いてきた本を弟が殆ど読んでいるからだ。僕の家には子供にはテレビを見せない、ゲームも週に三十分などという有りえない制限が存在したので、娯楽が読書しかなかったというのもあるんだけれども。
弟は昨年薦めたグレッグ・イーガンの単行本を全て読み終わったらしいので、ダン・シモンズの「ハイペリオン」シリーズを薦めておいた。弟は現在主に「ホラー小説」を読んでいるらしい。角川ホラー大賞なんてのがあるし「パラサイト・イブ」や「リング」以降の流れがあるんでしょうかね。弟は丁度二十歳なので、いわゆる新本格等のミステリーを読む人が多いのかと思っていたが、周りには小説を趣味で読む人自体皆無だそうだ。
その後、木城ゆきとのSF漫画「銃夢」に出てくるザレム人と、フィリップ・K・ディック著「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のレプリカント、イーガンの短編「ぼくになることを」の<宝石>について話す。ザレム人は自分の脳がチップに置き換わっている事を知って気が違ってしまうのだけど、それってどうよ?ノヴァ教授の<私>はどうなっているんだろう。ガリィは単に体が機械化されているだけで、その点に関しては非常に単純な存在でいま一つよくわからない。って、銃夢の話ばかりだが。僕は脳がチップに置き換わっていたとしても気が違うなんて事は無いと思うのだが*1、弟はそうでもないそうで。僕らと同世代の人間は大体が「脳に出来てチューリング機械に出来ない事は無い」と思ってるんじゃないかとおもうんだが、そうではないのだろうか。そんな事全く考えていない、のなら逆に脳がチップであったところで気にしないんじゃないかな。心臓に心が宿っていない事がわかった時みたいに。
そして、「死のロングウォーク」をまた薦められた。つい最近彼女にも薦められたのだ。彼女もスティーヴン・キングが好きで、たまたまバトル・ロワイヤルの話をしていたときに話が似ているという事で「死のロングウォーク」の話になったのだが。多分読まないけど。

*1:確かに今「君の脳は実はチップだ」、と言われたら物理的なこともあって非常に驚くだろうけど