虚ろな表情での挨拶運動

こんばんは……。
ある人Xが無差別大量殺人を行って、その後、事件と直接には関係しなかった、AとBが以下ような会話をしたとします。

A
Xは一人で死ねばよかったのに
B
Xの家族の気持ちを考えたら、一人で餓えて死ね、だなんて、そんなこといえるわけないね!! つまりそんなことをいうな!

このBには本当に腹が立つ。いったい、自分のどの部分がAよりも優れているので、AよりもXの家族の気持ちを慮った行動が可能になり、Aに対する命令権まで手に入れたと自負しているのか全くわからない。何がアピりたいのかはっきりしろ。僕がAだったら、
「きさまが俺より十分に把握していると自負して許されるのはきさまの気持ちくらいのものだから、こう言い直せ
『Xが一人で死んでしまって悲しんでいるXの家族のことを想像したら悲しくて泣けてくる俺(B)のことを考えたらそんなこといえるわけないね!』
そしてこう答えます。『お前の気持ちなんかしるか!!』」
Bは仮想人質を捕っているので腹が立つ。しかし、Aに賛同できるかというとそうでもない。AはXのことをよく知らないで頓珍漢なアドバイスをしているように見える。無関係な人間にアドバイスを送る時点で傲慢ですが、その上、アドバイスがてんで的外れと来たら……。
直接面識の無い、縁遠い人間Xに対してアドバイスを送るのは、それが届く届かないにかかわらず、自然なことだとします。自分の有能さを確認できるチャンスであるわけだし。その場合、アドバイスはXの目的に沿っているかどうかのみで有効なアドバイスかどうか判定されます。Xは大量殺人をしたかったようだとしかわからないですが、とりあえず自分が死にたかった訳ではなく、実際死んでいない。Xの目的はなんだかよくわからないので、有効なアドバイスは困難です。誠実にアドバイスを送ろうと思ったら、どうすればダイナマイトが手に入るか、などのアドバイスになります。もしかしたら、Xは単にたんぱく質を切ったりしたかっただけなのかもしれないので、その場合は、シェフを目指してみたらどうだろう、それも一流の、というのはアドバイスになりえます。ところが、実際にAが行ったアドバイスはどう見てもアドバイスになっていません。なぜ、そんな事になったのか……。他人に対して不利益を生むような目的に対しては無関係な立場からアドバイスを送る事が出来ない。なぜなら自分が不利益をこうむる可能性があるから。もしくは、人間一般に対して共感を持っているから。とすると、他人に迷惑な目的を持った人に対するアドバイスというのは、目的を達成する手助けになるような振りをしつつ、実は巧妙に目的が達成されないよう誘導するという、難度の高いものになるはず。それを、死ねばよかっただなんて、そこの浅いアドバイスをしていたのでAは努力が足りないといわれても仕方がないし、しかも、それはXに対してアドバイスをする場合の話なのだから、Bにまで本当にXのためを思ってのアドバイスやで、という振りをしているのはわけがわからない。Xを殺しておけば良かった、でも、殺すのは嫌なので、勝手に死んでれば自分にとって都合が良かったのに、を若干縮めて、死ねばよかったのに、だったら納得です。