サポとヲタについて

サポとヲタは似通った部分を多く持つが、決定的に異なる点がある。ということについて書きますが、あらかじめ言っておくと、僕はサポについてそれほど良くわかっていません。身近では、職場の隣席に一人いらっしゃるのと、一緒にサッカーを見にいった事がある知り合いが一人居るだけで、僕自身はサポではないですし、ちゃんと確認した事はないですが近縁の人間にもサポはいないようです。サッカーは昨シーズンに観戦を趣味にすると決めてからテレビで見続けてきただけで、スタジアムへ足を運んだ事は一度しかありませんし、特定チームのファンであるかどうかも微妙なラインです。なので、サポについての知識はほぼすべて国内サッカー板に拠っています。
サポとヲタの似ている部分は数え上げるのも馬鹿らしいほど色々あります。チームやグループを追いかけて全国に遠征したり、集団で(他人から見ると)奇妙な動きや発声をしたり、グッズで身を包んでみたり、熱狂的になるとおなじ集団の人間からも迷惑がられたり、あるメンバー(選手)の名前が記されたユニフォームを着たり、といったところです。特に、ヲタがしばしばユニフォームを着ている点には注目するべきだと思います。アイドルは(特殊な例を除いて)別にユニフォームを着ているわけではないからです。また、特にアイドルとは関係の無いユニフォームを着ているヲタも良く見かけます。普段着としてレプリカユニフォームを着る人はあまりいないので、特別な場所であるコンサート会場へいくために、わざわざ関係のないユニフォームを着ているのだと思います。理由はよくわかりませんが、通気性など機能面で高く評価しているからなのかもしれないし、一種の目印としてなのかもしれません。大抵のユニフォームはとても目立つデザインです。また、つい先日、あるチームのサポが観客席から落ちて怪我をするという事故がありましたがこれも類似を匂わせます。
大きく違う部分として僕が感じているのは二点あります。一つに、サポは箱推しがデフォルトであるのに対して、ヲタは基本的に単推しを尊ぶ点、もう一点、サポは自分の応援の力を認めがち、という点です。
推し単推しは多少説明が必要な用語かもしれません。箱推しというのはある個人を応援するのではなく、集団を推す、と言う意味です。サポの場合はさらに広く、現時点で存在する集団を応援しているのではなく、過去や未来を含んだクラブそのもの、を応援している、という感じなようです。なので、ヲタがメンバーの写真を尊重するのに対して、サポはフラッグやユニフォームといった、クラブという存在そのものを象徴する応援アイテムを好むのではないか。クラブを離れた選手に対するブーイング、を、ユニットを抜けたソロに対するブーイング、と置換えて考えるとなかなか想像しにくいものがあります。
サポは応援の力を肯定的に捉えがち、というのはサポーターという呼称からもわかる通りですし、サポ以外でもサポの力については実在を認める立場の人が多いようです。ホームでの勝率がアウェイでのそれに比べて有意に高いからです。ホームとアウェイの違いはサポの多寡だけではないし、普通に座って見ているよりも飛び跳ねてみるほうが応援力が高まるのかどうか、検証されているわけではないのでしょうが。これに対し、ヲタは自分の応援が応援として効果的に機能しているかどうかについては比較的無頓着であり、自分の応援力を誇ったり、より統率された応援を繰り広げよう、という意識に乏しいように思われます。サイリウム祭りなどはサポ的な発想であるかもしれません。